武生国際音楽祭へ。 珠寶さんへ衣装のご協力
9月12日
福井県の武生で20年以上にわたって続く音楽祭があります。
毎年、この音楽祭でお献花を執り行う花士、 珠寶(しゅほう)さんへ身に着けていただく
特別なジュエリーの制作をしました。
会場となる引接寺へ。1400年代に建立された歴史ある武生のお寺です。
入念なリハーサルのあと、衣装を合わせ、本番へと備えます。
PLANT / PLANTがご用意したのは、
厳かなお寺のなかで、静かにリーーンと鳴る髪飾りでした。
珠寶さんは、水面からすっと伸びたアヤメのように一本の美しい線のある人。
髪を留めるかんざしは、そんなイメージで制作しました。
大きな白磁が連なる髪飾りは、体を動かすたびに、リン、チリン、と美しい音が鳴ります。
これから執り行われるお献花のなかで、どんな音が鳴ってくれるのか
未知のワクワク感は、普段味わうことのない経験です。
静まり返る本堂のなかで、雅楽の演奏が始まります。
それも、アコーディオンとリコーダーという、雅楽のイメージと遠い楽器で演奏されます。
いつの時代の、どこにいるのか、そういう感覚がなくなるような
ある種、異様な、不可思議な空間のなかで、 珠寶さんのお献花が始まります。
神さまに花をささげるという行為を通して、
観る側はそれぞれに、そこにある時間と空間に身を浸し、
ある人は神さまを見て、ある人は枯れゆく花に時間の終わり見て、ある人は・・・・
音楽の終わりとともに、みながいま、何を見ていたのだろうと我に返る。
歴史あるお寺のお堂の中に繰り広げられた一夜の世界は、
誰もの心に一つの異空間をつくって幕を下ろします。
海外からもたくさんの音楽家が来場していて、
みなさん思い思いのご挨拶を 珠寶さんにしています。
PLANT / PLANTにとっても、新しいこころみに参加させてもらって
貴重な経験となりました。
今後の 珠寶さんとのジュエリーにご期待ください。
武生国際音楽祭
花士 珠寶さん